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イベントのお知らせ

主催:企業×当事者研究プロジェクト
   キックオフシンポジウム実行委員会

東京大学先端科学技術研究センター
当事者研究分野

運営:主催者・金剛出版


企業×当事者研究プロジェクト
キックオフシンポジウム

困りごとのエキスパートに聞く

多様性の
マネジメント改革

~みんなが働きやすい職場の作り方~

日時:2019年9月1日(日)
9:30-17:00

場所:東京大学先端科学技術研究センター3号館南棟1階 ENEOSホール

*本シンポジウムは,JST CREST「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」(課題番号:JPMJCR16E2)の支援を受けたものである.

社員がそれぞれの可能性を発揮できる組織文化の重要性は、普遍的なものです。最近の研究では、1) 謙虚なリーダーシップ(humble leadership)が社員の創造性(creativity)を促進すること、そして、2) その促進効果は職場の心理的安全性(psychological safety)によって媒介されること、さらに、3) その媒介効果は知識の共有(knowledge sharing)によって修飾されることが報告されています※。問題は、どのような方法でそれを職場に実現するかです。本シンポジウムではそのような方法の候補の一つとして、「当事者研究」に着目します。※引用:Wang et al., 2018

当事者研究は、北海道浦河町にある精神障害者らの地域生活拠点である「浦河べてるの家」で、重度精神障害者の就労や起業などを進める中で、新しい支援技法として編み出されました。そのきっかけは、困難なケースを前に精神科医や支援者が自らの限界を謙虚に認め、当事者の経験の中にすでに知恵が眠っているという信頼をもつことでした。今、当事者研究は全国の様々な現場に広がっています。※熊谷, 2017; 2018

当事者研究では「経験は宝」というスローガンのもと、積極的に症状や苦労、失敗談といった「弱さ」を情報公開し、苦労のメカニズムや対処法をグループ全体で研究します。弱さや失敗は責められるべきものではなく、グループ全体に新しい知識をもたらす貴重な研究資源と位置付けられ、心理的安全性の向上につながります。また、研究を通じて新たに得られた知識がグループの中に蓄積されていくことで、知識の共有が可能になります。

このようにしてみると、当事者研究を導入することで、リーダーの謙虚さや、心理的安全性、知識の共有が促進され、人々の創造性や組織の力を高める可能性があると考えられます。これは、企業が取り組んできた多様性のマネジメントの取り組みとも、共通する部分が多々あるはずです。本シンポジウムでは、企業が当事者研究を学び、当事者が企業の取り組みを学ぶことで、互いに学び合うことを目的としています。

プログラム

  • 9:00-
    開場
  • 9:30-9:40
    趣旨説明「なぜ私たちは当事者研究に着目したのか?」
    発表者:実行委員会メンバー

第1部 当事者研究とは?

9:40-11:50 当事者研究の歴史

  • 9:40-10:10
    難病患者・障害者運動の歴史:力を取り戻す
    発表者:熊谷晋一郎
  • 10:10-10:40
    依存症自助グループ:無力を認める
    発表者:綾屋紗月(東京大学先端科学技術研究センター)
    コメント:上岡陽江(ダルク女性ハウス)
  • 10:40-10:50
    休憩
  • 10:50-11:20
    当事者研究の誕生:二大潮流の合流
    発表者:綾屋紗月(東京大学先端科学技術研究センター)
    コメント:向谷地生良(北海道医療大学)or/and
    川村敏明(浦河ひがし町診療所)
  • 11:20-11:50
    パネルディスカッション・質疑応答
  • 11:50-12:50
    昼休憩

第2部 多様性のマネジメント

  • 12:50-13:20
    テーマ研究「激動の時代の企業の課題」
    発表者:実行委員会メンバー
    ファシリテーター:向谷地生良・上岡陽江・綾屋紗月・熊谷晋一郎
  • 13:20-14:10
    すべての人に役割のある社会を創りたい:企業の取り組み
    発表者:柏村美生(株式会社リクルートマーケティングパートナーズ)

14:10-16:00 当事者研究の知恵の蓄積

  • 14:10-14:35
    「思い込み」からの脱却
    ――統合失調症の当事者研究から学ぶもの
    発表者:浦河べてるの家メンバー&向谷地生良
  • 14:35-14:45
    休憩
  • 14:45-15:10
    働きすぎの背後にあるものとは?
    ――依存症の当事者研究から学ぶもの
    発表者:上岡陽江
  • 15:10-15:35
    そのコミュニケーションはなぜすれ違ったのか?
    ――自閉スペクトラムの当事者研究から学ぶもの
    発表者:綾屋紗月
  • 15:35-16:00
    過剰適応に気づいてから:アイデンティティの移り変わり
    ――聴覚障害の当事者研究から学ぶもの
    発表者:松本理子
  • 16:00-16:20
    当事者研究は職場に何をもたらしうるか
    発表者:熊谷晋一郎

第3部 質疑応答・個別相談・名刺交換会

16:20-17:00

登壇者の紹介

  • 柏村美生 profile photo

    柏村美生
    (かしわむら みお)

    株式会社リクルートマーケティングパートナーズ代表取締役社長、株式会社リクルート執行役員。1998年リクルートへ入社。29歳の時に『ゼクシィ』の中国進出を提案し現場責任者として、中国版ゼクシィ『皆喜』を創刊(2004年)。帰国後、ホットペッパービューティ事業長、リクルートライフスタイルの執行役員を経て2015年リクルートホールディングスの執行役員に就任。2016年4月よりリクルートスタッフィング代表取締役社長に就任し、Recruit Global Staffing B.V. SBU Executive Officer、World Employment Confederationの北東アジア代表を務める。2019年4月より現職。

  • 向谷地生良 profile photo

    向谷地生良
    (むかいやち いくよし)

    北海道医療大学看護福祉学部教授、社会福祉法人浦河べてるの家理事。青森県出身。1978年より北海道日高にある浦河赤十字病院医療社会事業部にソーシャルワーカーとして勤務。1984年に地域活動拠点として「浦河べてるの家」を設立。日高昆布の産直等の事業を推進、現在は総勢100名をこえる当事者が関わる。2001年より「当事者研究」を創案し、自助活動や相談支援に取り入れる。著書に『べてるの家の非援助論』(共著・医学書院2001)、『べてるの家から吹く風』(いのちのことば社2006)、『技法以前』(医学書院2009)他多数。

  • 上岡陽江 profile photo

    上岡陽江
    (かみおか はるえ)

    ダルク女性ハウス代表。精神保健福祉士。子どものころから重度のぜんそくで、小学6年から中学3年まで入院生活を送る。そのなかで処方薬依存と摂食障害になり、19歳からはアルコール依存症を併発。27歳から回復プログラムにつながった。1991年に友人と2人で、薬物・アルコール依存をもつ女性をサポートする「ダルク女性ハウス」を設立。著書に『その後の不自由―「嵐」のあとを生きる人たち』(共著、医学書院 2010)、『生きのびるための犯罪』(イーストプレス2012)他。

  • 綾屋紗月 profile photo

    綾屋紗月
    (あやや さつき)

    東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程。自閉スペクトラム当事者。発達障害者の当事者研究会「おとえもじて」主催。著書に『発達障害当事者研究』(共著、医学書院2008)、『つながりの作法』(共著、日本放送出版協会2010)、『増補 前略、離婚を決めました』(イーストプレス2012)、『ソーシャル・マジョリティ研究』(共著・編集、金子書房2018)など。

  • 熊谷晋一郎 profile photo

    熊谷晋一郎
    (くまがや しんいちろう)

    東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医。日本発達神経科学学会理事。脳性マヒの電動車いすユーザー。東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。主な著作に、『リハビリの夜』(医学書院2009)、『発達障害当事者研究』(共著、医学書院2008)、『つながりの作法』(共著、NHK出版2010)、『痛みの哲学』(共著、青土社2013)、『みんなの当事者研究』(編著、金剛出版2017)、『当事者研究と専門知』(編著、金剛出版2018)など。

  • 本シンポジウム実行委員会

    森一彦(株式会社ゼネラルパートナーズ)、松川雅一(株式会社DNPコミュニケーションデザイン)の他、建設会社、化粧品会社、IT企業など異業種のメンバー十数名が会社の枠を超え有志で参加。 企業に当事者研究を導入することが、組織変革に有用なのではないかという仮説の下、ダイバーシティや働き方改革、障害者雇用の本質である、<誰もが自分らしく働ける組織がしなやかで強い企業を創る>――という可能性をそれぞれの立場から模索している。

日時:2019年9月1日(日)9:30-17:00(9:00開場)

場所:東京大学先端科学技術研究センター内 ENEOSホール Access

(東京都目黒区駒場4丁目6番1号3号館南棟1階)

定員:150名(先着順、定員になり次第締め切りとなります)

聴講料:3,000円

情報保障:あり(手話通訳・文字支援)

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※登壇者及びプログラム内容に変更がある場合がございます。